第1章 烏野高校バレー部、始まる
美月が勢いよく教室を飛び出し、一瞬の沈黙の後。
「…1人では練習見に来れないってこと?」
山口が美月の去り際の言葉に突っ込みを入れた。
「そうなんじゃない?ほんと呆れるくらい“翔ちゃん脳”」
翔ちゃん脳?と山口が問うが、月島は答えずに紙パックに刺さったストローを吸う。
こっちを見てくれない月島に、山口は思い切って問う。
「ねぇツッキー、どうしてそんな、河北さんに突っかかるの?最近変だよ」
山口の問いに月島は表情を変えない。
が、しばらくして本人に思い当たる節があったようで…
「別に?
…あぁ、ただあいつ…日向に似てるとこは気に入らないかな。
あの、人のこと真っ直ぐ見てくる目とか」
そう答えられたが、山口には月島の言う“目”が
どういうことなのか、理解できなかった。