第4章 インターハイ、秘密の応援策
「こっ、この前なんてね、転んでお弁当ひっくり返しちゃって。
そしたら自分の分、私に分けてくれたんだよ!」
「ふーん、迷惑な話だね」
そう言いながらも、月島の声色は優しい。
(意地悪なセリフはいつもの月島君なのに。なんだか違う人みたい…)
初めて見た月島の表情に気を取られていると、
烏養のホイッスルが響いた。
「あ、休憩終わり」
「ん」
月島は飲んでいたボトルを渡し、コートに戻っていく。
初めて見た月島の優しい笑顔。
美月は持たされた月島のボトルを、ぎゅっと強く握った。