第4章 インターハイ、秘密の応援策
不思議に思い目を開ける。
「髪、ちゃんと乾かせてない」
ふわふわ頬に触れるのは真っ白なタオル。
先ほど顔を洗った際に濡れた髪が、まだきちんと拭けていなかったのだ。
毛先を優しく拭いてもらい、どうにもくすぐったい。
「じ、自分で出来るよ!」
「あ、そ。なら最初からちゃんとして」
タオルをもらい、ポンポンと叩いて水気を抜く。
その様子をじっと見ていた月島が口を開いた。
「あの女バレの友達、連絡した?」
「あ、うん!向こうも部活中だからまだ見てないと思うけど、メッセージ送っといた」
「ふーん。あの子、君のこと随分探してたみたいだけど」
「うっ…ほんと申し訳ない…。
あの子、入学した時からすごい私の面倒見てくれててね、私がドジする度助けてくれてさぁ」
「へぇ」
(あ、れ…?)
話しつつ、ふと上を見上げれば、目に映ったのは自分の話を聞いて微笑む月島の顔。
予期せぬことに心臓が跳ねる。
(月島君って、こんな顔するの…?)
目を細めて自分を見つめてくるその表情を、
美月は直視していられず下を向いてしまう。
そんな状況を悟られたくなくて、冷静さを装い言葉を紡いだ。