第4章 インターハイ、秘密の応援策
「…!スガ…」
菅原が美月の頭から澤村の手をはがしていった。
束の間、ほっとする美月。
「なんだよ“タラシ”って…そんなつもりないぞ」
「つもりが無いから天然なんじゃん。美月ちゃん困ってるから」
2人に視線を向けられ、思わず引きつる。
「え?え、えっと・・・、ちょっと、照れます…かね」
目をそらしながら頬を赤らめる美月に、澤村は自分も頬を染める。
「あ…悪い。女の子なんだから、気軽に触っちゃだめだよな…」
目の前で男女が照れ合う様子を見せつけられ、菅原の心は冷え切る。
(なにこれ…もしかして俺、焚き付けただけ?逆効果?)
菅原はむぎゅっと澤村の二の腕をつねった。
「ッ痛った!!!っ何するんだよスガ!」
「無性にむかついた」
「はあ?」
(あ、今なら!)
言い合う2人の隙をつき、美月はその場を離れる。
―と、
「なに逃げてんの」
目の前に立ちはだかったのは大きな壁…ではなく月島。
小動物でも見るかのように見下ろされ、美月は青ざめる。
スッと彼の手が伸びてきて、
防衛本能が働き、思わずぎゅっと目を瞑った。
すると、頬に感じたのは柔らかい感触。