第4章 インターハイ、秘密の応援策
小さく吐かれた毒は覇気が無く、子供がいじけたような言葉に聞こえた。
そっぽを向いてしまった月島を覗き込もうとすると、またふいっと顔を背けられてしまう。
(なに…?月島君、もしかして…)
「拗ねてるの?」
「っ!」
途端、月島の顔はみるみるうちに赤くなり、
その赤みは耳にまで到達した。
美月にばれないよう完全に背中を向けても、真っ赤な耳は隠し切れない。
月島のそんな姿は初めてで、美月は自分も頬を赤くしてしまう。
それと同時に、月島をかわいいと思ってしまった。
「あっ、あのねっ月島君。あの時逃げたのは、月島君を嫌がったんじゃないよ?」
「…。」
「私、小さい頃に犬に襲われたことがあって、その時のこと思い出しちゃっただけで…」
「…。」
「ね、だから…そんな拗ねないでよ」
「っ、拗ねてないっ!」
振り向いた月島はやっぱり真っ赤で、でもそれに負けないくらい美月も真っ赤で。
「ふふっ、真っ赤。図星だ」
「…ほんとむかつく。自分もでしょ」
2人はいつの間にかいつものように言い合いをしていた。
嬉しそうに笑う美月にいたたまれなくなった月島は話題を変えようと頭を巡らす。
そして先ほどあった出来事の1つが月島の脳内でヒットした。