第1章 烏野高校バレー部、始まる
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美月が日向の試合を覗きに行ったその日、青葉城西高校との練習試合を行うことが決定した。
青葉城西は県内トップクラスの強豪校。
そしてその強豪校に、烏野高校バレー部は見事勝利した。
3対3じゃないちゃんとした練習試合…本当は生で見たかった。
しかしバス移動を伴うしっかりとした部活動だ。
マネージャー候補にと声をかけてもらったものの、まだ部員でもない自分がそのバスに乗る資格はないと考え、見学には行かなかったのだった。
ただ、今はそれを少し後悔している。
「そんなにすごいの?美月の幼馴染」
「そりゃもうすごいよ!こーんなに飛んじゃうんだから!」
昼休みの教室。クラスメートと机をくっつけお弁当を広げる。
美月は箸でつかんだウィンナーを山なりに動かし、高く飛ぶ日向を表現した。
「だから…強豪に勝った試合も見たかったな」
「なら早くマネージャーになればいいじゃん」
隣からの呆れ声、その主は言わずもがな月島くんである。
美月は月島をキッと睨みつけた。
「…なりたいよ。でも今は頃合いを見てるの!澤村さんたちに
部活見学してから決めるって言っちゃったからね!!」
いつでも見学していい、興味が湧いたらマネージャーへも。
そう提案してもらい応じたが、私は既にバレー部への想いを強く持っていた。
しかしいざ練習の見学となるといつ行けばいいものか、
いつマネージャーになりたいと伝えればいいものか…
タイミングが掴めないでいたのだ。
「そのまま惰性で見学もできず終わったりして」
「ツッキー…」
(この人はー…!なんでこう煽ってくるんだろう!?
試合を覗きに行ってからだよね、やたらと私に突っかかるの!)
「ッ分かった!今日こそ見学しに行く!から、翔ちゃんにお願いしてくる!」
昼食を一緒にしていたクラスメートに一言断りを入れると、
美月は月島への反抗心を表すように乱雑にお弁当をしまい、そのまま廊下へと出て行った。