第4章 インターハイ、秘密の応援策
パタン。
「な。扉閉めたくなるだろ。神聖過ぎて近寄れないだろ!?」
田中の訴えに影山はこくこくと頷く。
「俺たちじゃ無理だ!あれは日向じゃないと――」
「俺?俺がなんですか田中さん」
ハッとして声のした先を辿る。
日向と月島が階段を上って来たところだった。
「ひっ、日向このやろーっ!今日に限って遅ぇんだよ!!」
「え!?え!?」
「俺たちじゃ近づけないんだああ幼馴染パワーで助けてくれえええ」
田中と西谷に文字通り背中を押され部室の前に立たされた日向。
天使が、天使が、とワケの分からないことを言う先輩に促され、扉を開く。
月島も横から覗くと、そこには捜していた彼女がおり、すやすやと寝息を立てていた。
(ほんとに部室にいた…)
日向が思いついた通りの場所に彼女がいた。
その事実は月島に安堵と苛立ちをもたらす。
立ち尽くす月島の横に風が吹いた。
「美月っ!」
誰も近づけなかった彼女の元に、日向が駆け寄ったのだ。
気持ちよさそうに眠る彼女を見て、日向はホッと息をついた。
真正面に座り、ぺちぺちと頬を優しく叩く。
「おーい、起きろよ美月。皆困ってるぞ」