第4章 インターハイ、秘密の応援策
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(今日のホームルーム伸びすぎだろ…!)
校内を駆ける生徒は2年の3人の他にもう1人いた。
日向と部室到着の早さを競っている影山だ。
今日は担任の連絡事項の確認が長く、早さ争いには不利な状況。
勝ったらどうとか負けたらどうとかがあるわけではないのだが、
影山は急ぎ部室へ向かった。
いつも使う最短ルートで部室のある体育館横まで来た影山。
ここに来るまでに日向に会わなかったため、
もうとっくに来ているのか?と肩を落とし部室へ続く階段を上る。
そして階段を上りきった先、
影山の視界に入ったのは部室前で体育座りする2年の先輩方の姿だった。
「え…と。皆さんどうしたんですか」
戸惑い気味に影山が聞くと、一番端に座っていた田中がゆっくりこちらに顔を向ける。
「やぁ、影山君。今日も早いね。ところで日向君を呼んでくれないかな」
「はぁ…?日向まだ来てないんすか?なら、そろそろ来るとは思いますけど…」
「俺たちもそう思ってこうして待ってたんだけど、事は急を要すんだ…」
力なく言う縁下を見て影山は更に混乱した。一向に事態が掴めない。
「あの、よくわかんないんすけどとりあえず部室に入りま「だめだっ!!!」
「っ!!?」
部室の扉に手をかけようとした瞬間、その手を西谷に掴まれた。
「天使がいるんだ…」
「は?」
「この部室には今っ!天使がいるんだよっ!!!」
(や、そんなど迫力で言われても)
とにかく説明が欲しいと思い、まだ日本語を喋ってくれそうな縁下に視線を向ける。
「…ちょっとだけ扉開けて、中を覗いてみてよ。そしたら意味わかるから」
言われて影山はそっと扉を開く。
するとそこには、
陽の光を浴び、心地よさそうに眠る美月の姿があった。