第4章 インターハイ、秘密の応援策
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月島が日向に会う少し前――。
「田中お前鍵当番もろくにできないのかよっ」
「うっせーよ縁下!ちょっとしたミスだろ!かわいいもんだろ!」
「泥棒とか入ってないといいな!」
「「サラッと怖いこと言うな!!!」」
田中、縁下、西谷は全力ダッシュで校内を駆けていた。
「大体なんで鍵当番するなんて言い出したんだよ…
普段やらないことやろうとするから、鍵かけ忘れた!なんてことになるんだろ」
「おお!それは俺も思ったぞ龍!かけ忘れに気付くのも遅ぇし!」
「うっ、うっせーなぁさっきから!悪かったよ要らぬ気づかいしちゃって!
文句は後で聞くからとりあえず証拠隠滅!!」
3人が向かう先は部室。
ホームルームを終え、さて部活に行くかぁと3人で話していた際、
突然田中が冷や汗をかき始め事件が発覚した。
真っ青になった田中に縁下が
「部室に一番乗りすればバレないだろ!」とナイス発案をし、今に至る。
部室の前に到着し、3人は息を切らせながら耳を澄ませた。
「なんも聞こえねぇ…一番乗りか!」
「それか静かなる怒りを湛えた大地さんがいるかも…」
縁下の不吉な言葉に2人は震えあがる。
「くっ…どちらにせよこの扉を開くしか道は無い!
2年1組田中龍之介、行きますっ! 」
ガッと扉のノブに手をかけた田中を見て、西谷は目を潤ませる。
「くぅう…!漢らしいぜ、龍…!」
「いや自業自得なんだけどね」
後ろの会話ももう入ってこないほど緊張した田中がゆっくりと扉を開く。
隙間から見えた景色はいつもと変わらぬ部室―――、ではなく。
パタン。
「…は?田中?なんで閉めた?」
「…が、いた」
「!?まさか大地さん…!?」
俯き、ふるふると顔を横に振る田中。
西谷と縁下が息を呑む。
ゆっくりと田中が顔を上げた。
「天使が…いた」