第1章 烏野高校バレー部、始まる
「えっ…!いいんですか…?」
驚く美月に澤村が続ける。
「実はいまのところマネージャー希望者がいなくて困ってるんだ。
だから見学してるうちにもし興味を抱いてくれれば、って思ってさ」
困った顔でそう言うと、
澤村は「清水!」と奥にいた女子マネージャーさんに声をかけた。
段ボール箱を持って駆けてきたその人。
近くで見ると、その美貌がよく分かる。
「ごめん澤村、これ準備してた。なに?」
「さっき自己紹介の時いなかったろ?河北美月ちゃん、日向の幼馴染だって」
「はっ、はじめまして!」
「はじめまして、清水潔子です」
(名前も、笑った顔も、綺麗…)
「今度から、たまに部の見学に来ることになる。貴重なマネージャー候補」
「…!よろしくね」
マネージャー候補と聞いた清水は分かりやすく嬉しそうな表情を見せた。
その表情は同性でもドキッとしてしまうほどの美しさ。
(そっか。男子バレー部だからって諦めてたけど、マネージャーの募集があるなら
翔ちゃんと一緒にいられるんだ…。
しかもこんな美人さんとも一緒に…)
清水が持ってきた段ボール箱に入っていたのは、1年生のための部のジャージだった。
皆がカラスのような黒いジャージに身を包む姿を見ていると、
美月はなんだか自分まで気持ちが高揚してしまったのだった。