第4章 インターハイ、秘密の応援策
思わず立ち上がってしまい、慌てて自分の口を押えた。
「ばっ、ばかなこと言わないでよ!」
「え~?照れちゃって可愛いなぁもう」
「違うってばーっ!」
子供のように頭をなでられ、必死に抵抗するも相手にされない。
すると月島の話題にもあまり乗ってこなかった唯一の人、
谷地が手を挙げた。
「はい。じゃぁ美月の本当の好きな人って、誰?」
まさかの直球。
興味津々といった目で見つめられ、美月は言葉に詰まる。
(仁花は味方だと思ってたのに…!)
谷地の言葉を皮切りに、さっきまで冗談で盛り上がっていた面々が
静かになった。
「美月のそれ系の話、マジのやつは聞いたことないなぁ」
「確かに!相談とか受けたことない!」
どうなのよ?と詰め寄られて美月は真っ赤になる。
「そっ、そんな人出来たことないからわかんないよっ」
「「「・・・」」」
「…え?なに?」
顔を見合わせると、友人達は一斉に美月を抱きしめた。
「高校で出会ってからだいぶピュアな子だなぁとは思ってたけど!ここまでとは!」
「初々しいね!かわいいね!」
「むしろ私が付き合いたい!」
「付き合いたいはおかしくない?」
冷静にツッコミを入れていると、今度は本当に先生がやって来た。
慌てて別クラスに戻る谷地を見送りつつ、自分も席に戻る。
(好きな人なんて。男の人は基本恐怖の対象だし…)
ついさっきの話を思い出して、隣の月島は見ないように着席した。