第4章 インターハイ、秘密の応援策
食べるのが遅い美月は急いで肉まんを口に運ぶが、
ふと西谷の姿が目に留まった。
「にふぃのやへんぱい、ついてますよ」
スッと伸ばされた指は西谷の頬にたどり着くと、
そこにあった肉まんの皮のカケラをひょいと掴んだ。
そしてそのままカケラは美月の口に運ばれる。
「「「「え゛」」」」
「ふふ、先輩てば子供みたいですね」
ボンっ
爆発音がしたかと思えば、西谷が直立のまま倒れていく。
危うく頭を強打というところを田中が受け止めた。
「ノッ、ノヤアアアア!しっかりしろ!!
確かに今のは倒れそうな出来事だがここで意識を手放したらもったいねぇっ!」
「え、そこ?」
菅原のツッコミも届かず、田中は西谷の体をゆすり続ける。
「くそおお、同じことを俺がしたって美月は絶対同じようにしてくれねぇ!
おそらく日向とノヤっさんにのみ向けられる行為…
うらやましいぞコンチクショー!」
もはやただの嫉妬を叫ぶ田中を縁下や菅原がなだめに入った。
これ以上ゆすられ続けたら西谷の首がもげてしまいそうだ。
「…私、何かまずいことした?」
「したよ、思い切り」
騒ぎにオロオロする美月を月島が切る。
なんでー!?といつまでも理解しない美月だったが、
月島に睨まれてしゅんと肩をすぼめた。