第1章 烏野高校バレー部、始まる
「にしてもまさか試合が覗かれてるとはなぁ。日向のことがそんなに心配だったの?」
「え、いや…心配と言いますか…ただ、しょ…日向くんの飛ぶ姿が見たくて」
「飛ぶ姿?」
優しく声をかけてくれる菅原に、身振り手振り一生懸命答える。
「はいっ。日向くんの…ボールめがけて飛んでいって、こうバシーンッてスパイクする姿、
中学の時見れて、そのとき胸がドクドクしたんですっ。
それからコートできらきらしてる日向くん、また見たいって思ってて…
そしたら今日、見れましたっ!!」
ついさっき見た日向のスパイクを思い出し、つい笑顔になってしまう。
気付くと菅原、田中、澤村はじっと美月を見つめていた。
(あ、あれ?私変なこと言ったのかな?)
「先輩方…?」
「…ッ、あぁいや、うん。それは良かったね!ね、大地!」
「あ、あぁそうだな。」
「スガさん、大地さん…俺今心持ってかれました…」
(なんか田中さん、天にのぼりそうな顔してる…?)
しっかりしろ田中ァ!と菅原さんが田中さんを前後に揺らす様を見ていたら、
「なぁ、もし良ければなんだが…また部の見学、しに来ないか?」
澤村さんからの突然の提案が舞い込んだ。