第3章 カラスとネコと
腕を掴まれたことで顔を真っ赤にした影山。
彼の発言に美月は耳を疑う。
「オッ、オカンみたいなんて初めて言われた…!」
過保護だとか日向と姉弟みたいとか、周囲からそんな風に言われたことはあった。
しかし、『オカン』というフレーズはあまりにもショックで…
「けっ、研磨!私オカンっぽいなんて、そんなことないよね!?ね!?」
まだ高校生だよ!?と必死に訴える美月。
近距離で美月に見つめられた研磨は、
「あ…っ「「逃げたーーっ!!」」
影山と美月をその場に、無言のまま走り去ってしまった。
「に、逃げるってことは研磨もそう思ってたってこと!?」
「かもな」
床に落ちたネットを拾いながら影山が答える。
美月は悲しくなって肩を落とした。
「高校生でオカン…」
「おい、お前ボトル探しに来たんだろ?戻んなくていいのか?」
言われてハッと気づく。
「!そうだった!清水先輩一人にしちゃってる!」
美月は急いで清水のいる洗い場へと戻っていった。