第3章 カラスとネコと
「ッ翔ちゃん!」
「どわっ!!あっぶなーっ!倒れるかと思ったーっ」
日向にべったりしがみついた美月を見て、音駒が固まる。
周りを囲んでいたうちの一人、黒尾はにっこりと笑った。
「えーっと?つまりそのチビちゃんと美月ちゃんは…恋人同士?」
言いながら両手の人差し指を動かし、恋人同士のようにくっつけてみせる。
「そうだったんだ、翔陽」
研磨まで驚いて言うので、日向は慌てて手をブンブン振った。
「え?えええ!?ちっ、違う違う!俺らは幼馴染でっこれには事情が!」
その様子を見て黒尾はブッと吹き出す。
「ははっ!冗談だよ冗談!見りゃわかるって」
(いや…大半が冗談と思ってないし)
黒尾は軽く笑っていたが、菅原が見る限り他の音駒メンバーはすっかり真に受けていた。
「探し物、見つかったんなら良かったな」
ぽんと、黒尾の手が美月の頭に乗る。
美月は日向の肩から顔を離した。
「あ、ありがとうございます…」
言葉とは裏腹にむすっと拗ねた顔は可愛らしくて、
黒尾はまた吹き出しそうになってしまう。
(あー、ほんと面白いなぁこいつ)
そんな黒尾の表情に研磨は眉をひそめた。