第3章 カラスとネコと
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(何度だって、とは言ったものの…)
「いったい何回試合したら気が済むの…?!」
美月は疲労に崩れ落ちた部員たちを前に、ため息をつく。
日向の「もう一回!」は止まらなかったが、
新幹線の時間もあるためようやく片付けが始まった。
「ぅおいっ」
「あぁ?」
片付けの最中、用具室にいた田中はモヒカン頭こと山本と揉めていた。
「あのーーそのーー…そっちのぉ~…あの…じょ、ぅ…」
「あ?」
「マネージャーさんの名前なんて言うんですか」
「!!!!!!てぇぇめええ!うちの大事なきょっ…
マネージャーにぃいっ!ちょっかい出す気かぁああ!そのフサフサしつこく触るぞ!!!」
途端に掴みかかる田中だが、山本は達観した表情を見せ、
「いや、話しかける勇気はない」
きっぱりと否定した。
沈黙が流れ、田中はスッと山本から手を離す。