第3章 カラスとネコと
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序盤、試合は烏野優勢。
しかし烏養はこの状況に気持ち悪さを感じていた。
「観察されてる…?」
心の中にあった考えが隣から発せられた。
見ると、その声の主はじっとコートを見つめている。
こっちが気圧されそうなくらい、じっと。
それは、いつか月島が見た食い入るような目。
烏養は恐る恐る声をかける。
「美月…?」
「…あっ、すみませんっ!なんですか?」
「いや、お前もそう思ったのか、と思って」
自分の心の声が漏れていたと気付き、美月は気まずそうに答えた。
「あぁ…。そうですね、こっちの出方を見られてるなって思って…
多分、そろそろ対策とられちゃうんじゃないかな」
美月の考えを聞き、烏養は単純に感心してしまった。
よく見ているし、的を射た意見だ。
(バレーは日向に付き合ってやってたくらいだって聞いてたが…
観察眼があるのか?)
その後予想は的中し、
序盤に通用していた日向の速攻は止められるようになってしまった。