第3章 カラスとネコと
「旭さん、これ、一発殴ってもいいっすかね」
「西谷…。俺が言うのも難だが、また部活動停止になるぞ…」
「そっすよね。心の中で殴っときます」
「や、怖ぇよ…」
物騒な話を横で聞きながら、月島はため息をついた。
(なんで美月は他校にまで気に入られるかな…。
大体、この人たち美月のことになると敏感すぎて……ん?)
ため息をつき、視線を渦中に戻すと、
いつの間にか黒尾の前にいるのは澤村。
澤村はにっこりと笑顔を見せ、右手を黒尾へと差し出した。
「どうも初めまして、部長の澤村です。今日は宜しくお願いします。」
爽やかな挨拶のようで、どこか凄みがある。
そんな澤村の登場に黒尾は一瞬目を丸くしたが、すぐにあの完璧な笑顔を返した。
「やー、こちらこそ宜しくお願いします。」
手はがっちりと握られたまま、2人の空笑いが渦巻く。
(え、笑顔なのに…見ていて怖い…?)
ただならぬ空気にすっかり頬の紅潮が引いた美月は
オロオロと場を見つめていたが―、