Fall in love with you【R18】
第5章 five
ありがとうございましたー、と接客用の高めの声で挨拶をした後、ポテポテと俺らのテーブルに向かってきて「何があったんですか」と訊ねてきた。
お前のことだ、なんて言えねえしな…
「何でもねぇよ。」
捻り出した答えは在り来りでつまらないものだった。
「そうですか」
他のテーブルに向かって歩き出した藍原の後ろ姿を見送って、コップに残った酒を一気に流し込んだ。
「お前さ、変わったな」
一口だけ酒を含んだ滝ノ上が言った。
「何も変わってねぇよ。」
「いや、変わったって。ヤキモチは妬くようになったしあいつに触んなーなんて、ここ最近なかったべ?」
「ここ最近は、な。」
少なくとも、ハルと付き合ってた頃はあったさ。ハルに色目使うやつは片っ端から牽制して、触れようものならこれでもかと睨みつけた。
だから変わったんじゃなくてあの頃の俺に戻りつつあるだけだ。
「でも変化には変わりねぇじゃん。」
ポツリと呟やかれた言葉に、そうだな、と返した。