Fall in love with you【R18】
第11章 eleven
服を脱いで浴室に足を踏み入れると、水のままシャワーの蛇口を捻った。
勢いよく落ちてきた冷たい水に思わず息を止めたけど、慣れてしまえばなんてことは無く、ただそれを受け止める。
頭のてっぺんからつま先まで冷えて、こころもだんだん冷えてくる。
このまま嫉妬心も何もかも流れ落ちてしまえばいいのに。
自嘲気味に笑ってから最低限のことを済ませ、浴室から出る。乾いたタオルを温かいと感じるほどに冷えきっていた身体をしっかり拭き、髪を乾かした。
嫌だな……部屋に戻りたくない……
けどそんなわけにも行かず、重い足取りのまま階段を一段ずつ踏み締めて登る。こんなに階段って長かったっけ?そんなふうに思ってしまうほど、ゆっくりと。
部屋の前について、2度ほど大きく息を吐き出しドアノブを回し、部屋へ足を踏み入れる。
「お先に頂きました。烏養さんどうぞ」
「おう、わりーな」
複雑そうな表情を浮かべたまま立ち上がって、私の隣を通り過ぎて行く。
パタン、と閉じた扉の音がやけに大きく聞こえて、なんだか、置いていかれたような気持ちになってしまった。