Fall in love with you【R18】
第5章 five
「お前、嶋田にあの時の事はなしたんだって?」
注文を取りに来た藍原に問いかけると、開かれた目が不安げに揺れた。
いや、俺そんな怒った感じで聞いてたか?
合わさった視線が逸らされて、藍原と嶋田が目で会話をしていた。
「そうなんです。気づかれちゃって!」
何を話したのかは分からなかったけど、秘密を作られたことは確かだ。
気に入らねぇ。
俺には言えねぇのかよ。
小さく溜息を吐いてケータイに視線を落とすと、ごめんなさい、と落ち込んだ声。
別に俺は謝って欲しいわけじゃねぇし。
ただ、本当のことを聞きたかっただけ。
パパッとフリック操作を行い、おふくろにメールを送った。
「おい。今日お前ん家泊まる。いいな?」
「あ、えと、はい…」
半ば強制的に許可をとってさっさと厨房に戻らせた。
「避妊はちゃんとしろよ、繋心。」
「わぁーってるっての!」
藍原がテーブルを去ってからも、嶋田は浮かない顔をしたままだった。
またそれが気に入らなかった。