Fall in love with you【R18】
第5章 five
払っても払っても晴れない『ハルさん』という靄が前向きでいようとする思考を邪魔する。
せっかくのいい天気なのに…
心は悲しい色をした曇り空。
私のバイト先である『おすわり』より少しだけ先にいくと、豚が輪切りにされていると言う何ともシュールな看板を掲げたスーパー。
「嶋田マート…」
来たのはいいけど果たして彼は今日来ているのだろうか。
来ていたとしても彼は今仕事中では無いだろうか。
そんな不安を抱えながらとりあえず店内を歩いてみる事にした。
あ、今日豚肉安い…シャンプー買わなきゃ…ノートもそろそろ使い切る頃だ。
嶋田さんの姿を探しながらそんなことを考えていると、商品棚の影に少しだけ見えたメガネの人。
「ってぇ、」
突然上がった声に驚いて近づくとやっぱり嶋田さんで。
「嶋田さん、どうしたんですか?」
そっと声をかけるとゆっくり視線が上がって、メガネ越しにパチリと目が合った。
「優稀ちゃん?」