Fall in love with you【R18】
第4章 ●four
ー藍原ー
心臓が、ドクッ、と嫌な音を立てた。
烏養さんが今発した名前。
『ハル』さん
もちろん私の名前じゃない。
だとしたら誰…?
前にバイト中に聞いた、と言うか聞こえた。
“俺はまだあいつのこと忘れらんねぇんだよ”
烏養さんが小さく呟いた言葉。
もしかして、その人が『ハル』さん…?
烏養さんはいま、私と『ハル』さんを重ねてるの?
その考えを導き出した瞬間、
ミチッ、と心にヒビが入り始めた。
やだ、やめて
ハルさんと私を重ねないで
「烏養さんやだっ、」
いくら押し返そうとしても力の入らない手。
肌を撫でるくらいにしかなっていない。
「悪ィ、でも止まんねぇ…」
烏養さん、その閉じられた瞼の裏には誰が居るの?
ねぇ、私を見てよ
過去の人なんて見ないで
烏養さん
身体は満たされていくのに心が満たされないの
苦しいよ