Fall in love with you【R18】
第11章 eleven
でも、やられっぱなしは正直面白くない。
「なんだい?別れたの後悔しちゃったー?」
揶揄うつもりでかけた言葉は
秋の夜風に攫われてしまった。
「うん、後悔してるよ。ずっと」
悲しそうな笑みがこちらを向く。
「別れようって決めた日からずっと」
私の足が止まって、東峰が少し先で振り返る。
「そんな顔しないで欲しいな…俺は藍原に幸せになって欲しくてそう決めたんだ。確かに後悔はしたけど、藍原が今幸せならそれでいいよ。」
烏養さんとは違う大きな手がわしゃわしゃと髪を搔き撫でる。
「あさ、東峰!」
「旭でもいいよ。お前が呼びたい方で」
「……ありがと、でも、これまで通り東峰って呼ばせてもらうよ」
「……烏養さんのこと、相当好きなんだな」
「うん、すき」
たった、2文字。
その言葉すらあの人から聞けない。
言葉なんて要らないなんて言えたらどんなに楽か。
「焦ることないよ。ずっと走ってたら疲れちゃうだろ?今はゆっくり歩いて進めばいい」
何あったら話くらいなら聞いてやれるからさ、と再び歩き出した東峰の隣に駆け寄る。
「ありがとう、東峰のそうゆうとこ好きだったよ」
「俺も藍原のそうゆうところ好きだった」
軽口を叩き会いながら月夜の道を歩いた。