Fall in love with you【R18】
第10章 ●ten
振動を止めず鳴り続ける携帯。
取り敢えず良くない事が起こる気しかしない。
出るか、いやでもこれって浮気とかになるんじゃねぇの?
ぐるぐる色んなことを考える。
「後で電話したって藍原に言えばいいか……」
いつまでも電話かけられたら堪ったもんじゃねーし。
大きく息を吸い込んで、肺の中が空っぽになるほど吐き出す。
「もしもし」
緊張してるのが伝わらないようにぎゅっと手を握り締め、返事を待つ。
『番号、変わってなかったんだね』
「面倒だったからな」
お前との唯一の繋がりだから、変えらんなかった。とは言えなかった。
「つーか、お前も変わってねぇだろ」
『うん……繋心との唯一の繋がりだから、変えられなくて……』
あぁ、これか、良くない事。
「そ、わりぃけど俺はもうなんとも思ってねぇから。」
酷いとか最低とか思われようとも、俺が今想ってるのはあいつ1人だから。
『知ってる。私も彼氏いるし、繋心にはまた友達になって欲しいの。こっち戻ってきて知ってる子あんまり居ないし……』
電話越しに寂しそうな声が聞こえる。本当の事を言ってる、らしい。
「友達なら……」
それならいいか、なんて、思ってしまった。