Fall in love with you【R18】
第9章 nine
店の奥の方にあるトイレに駆け込んで、数回大きく息を吸ったり吐いたり。
それでも、胸の痛みは消えなくて。
だめだ、こんなにトイレに篭ってたら烏養さんが心配する……
小刻みに震える指先をぎゅっと握ってトイレを出ると、視界に入ってくる烏養さんとハルさんが楽しそうに話してる姿。
私の入り込む隙なんてこれっぽっちも無い。
私なんかより大人で、綺麗で、烏養さんのことを分かってて。烏養さんがあんな無邪気に笑うところ、私は見たことがない。
わたしよりずっとお似合いだ……
蹲ってしまいそうな苦しさを必死で耐えて、怪しくないように精一杯表情を作る。
「遅くなってすみません。」
「構わねぇよ。」
席に着くとハルさんがジッとこちらを見つめる。
「そういや、紹介してなかったよな。コイツは俺の彼女の藍原。こっちは俺の大学ん時のダチでハルってんだ。」
友人、という言葉にピクリと反応するハルさん。
そうだよね、烏養さんは私がハルさんのこと知ってるの知らないもんね…隠しておきたいのかな…
まだ、私には話してもらえないのかな
待つって言ったけど、
いつまで待てばいいのかな…