Fall in love with you【R18】
第9章 nine
ー藍原ー
「繋心?」
まあるくて、甘そうで、でも芯があって
そんな声が私たちの間に割って入って来る。
明るめのブラウンの髪。それと同じくらい綺麗な色をした優しい瞳。背もスラっと高くて、服装も私なんかよりずっとオトナ。
「ハル…」
「髪伸びたね。それにかっこよくなった。」
この人が、『ハル』さん……
綺麗にネイルの施された指先が烏養さんの髪に触れた。
懐かしむように、愛おしむように。
やめて、私の烏養さんに触らないで
「あの、」
思い切って声をかけると今その存在に気づいたと言わんばかりに笑顔を向けられた。
「あれ?繋心妹いたっけ?それとも親戚の子とか?」
彼女、という選択肢は存在しないんですか?
「まさか、彼女なわけないよね?だとしたらアンタ女の趣味変わりすぎ。」
「おい、店ん中だぞ。静かにしろよ。」
ずきん、ずきん。彼女の言う言葉すべてが心を抉る。
「わたし、お手洗い行ってきますね。」
もう、笑えない。