第9章 nine

「んー…でももう少しだけ見たいです！」


だめですか？なんてあからさまに落ち込まれちゃ勿論ダメなんて言えるわけもなく、ペンギンやオタリア(アシカの仲間らしい)が見られるコーナーへと向った。


ちょっとしたショーをするオタリア、ガラスの階段をペタペタと歩くペンギンに目を輝かせる藍原を見ていたら、まぁ、悪くはねぇかなーとは思う。


どうせならもっと我侭言えばいいんだ。


「満足しました！お昼食べに行きましょう！」

「おう。でも先に売店でも見てくか」

「はい！」


定番のお菓子やぬいぐるみ、文房具から食器までありとあらゆる物が売られていた。


「あのＴシャツ、菅原が好きそう。」

「あ？ど、れ…」


指さされた先にあったのはタコのイラストに『イカ』と書かれたＴシャツ。


ちょっと。どころかかなりセンスを疑った。


「私のじゃなくて菅原が好きそうなんですからね！私のセンスじゃないですからね！」

「わぁーったっつーの。」


ぶーたれる藍原の頭をポンポンと撫でているとふと目に入ったソレを手に取った。


「虫除けにはちょうどいいか…」


カモフラージュの為に菓子も手に取って、会計を済ませる。


藍原、喜んでくれっかな…