Fall in love with you【R18】
第9章 nine
駐車場に車を停めて降りると、人の多さに若干顔が引き攣った気がする。
「止めておきますか?烏養さん、人混みあまり好きじゃないですよね?」
そんなこと言った覚えないのに、俺の表情の変化から気づいてくれたのだろうか。
「俺はお前の行きたい所に行きてぇんだよ。たまには甘えろって、な?」
「…はい。」
せっかく今日の為にセットされたであろう髪型を崩さぬ様、前髪だけをくしゃりと撫でた。
「あーいーはーら!」
「…分かりました!じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますね!」
明るくなった表情にほっと一息吐きつつ、人前では滅多に繋がない手を取り歩き出す。
「えっ、あの!」
「デートなんだろ?手繋いだっていいじゃねぇか。」
悪戯っぽく笑ってやると、ゆるゆるになった頬を染めながら「はい」と返事をした。
「じゃあ、チケット買ってくっから少し待ってろ。」
受付のオネーサンの元へ行き、大人2枚と頼むと「妹さんですか?」なんて声をかけられた。
「いや、彼女っす。」
「そうでしたか、可愛らしい彼女さんですね。」
どうぞお楽しみください、と渡されたチケットだけどかなり複雑。
ま、何言われようとコイツは俺の恋人ってことに変わりはない。