Fall in love with you【R18】
第9章 nine
「烏養さんも、かっこいいです…」
ぽつり、つぶやかれた言葉に今度は俺が顔を染める番となった。
「あー…結構クるな…」
「烏養さんも赤い。」
「るせー。」
こんな会話、元カノとした事あったっけかな…
いや、多分した事はあった、ハズ……でもそれは社交辞令みたいなもんで、今みたいに照れるようなことは無かった気がする。
藍原、やっぱりお前は特別だよ。
「うかい、さん…キス、したいです…」
「いいぞ、こっち向け。」
赤信号で車が止まった隙に、体温を交わすだけのキス。一瞬過ぎて、全然足りねぇ。
「車の中でキスするのって、ドラマみたいでちょっと憧れてたんです。叶えられてよかった。」
照れて口元を隠す仕草が、ちょっと、ハルに似ていて…そういや、ハルも同じようなこと言ってたっけ…
あぁ、ヤメだやめだ。今日は何か知らねぇけどハルのことばっか思い出す。
これもおふくろのせいだ。くそ…
ジワジワとよく分からない不安感が胸の内を侵食して、気分も悪くなってきた。…なんだか、すげぇ嫌な予感がする。
「烏養さん、顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」
「心配ねぇよ、ちょっと考え事してただけだ。」
藍原に、余計な心配かけたくねぇしな。
その嫌な予感が見事当たるとも知らずに、俺達は目的の場所へと車を進めた。