Fall in love with you【R18】
第9章 nine
ー藍原ー
「別れてからは苗字で呼びあおうって決めて、今では親友みたいな感じですかね。」
あの時から東峰はちっとも変わってない。心配性で、いつもオドオドしてて、でもいざと言う時は頼りになって。
私に告白してくれた時は緊張で噛んじゃったけど、別れの言葉を言う時はしっかり私の目を見て告げてくれた。
今こうして友達のままでいられるのは間違いなく東峰のおかげだ。
「そうか…」
そう呟いたきり、何かを思いつめるように口を閉ざした烏養さん。
きっと、『俺も話した方がいいのか』とか思ってるんだと思うけど……
「烏養さん、無理に話さなくて言いですからね。」
バッと顔を上げ、びっくりした表情で私を見つめる。
「烏養さんが話したくなったら、聞かせてください。それまで私待ってますから。」
確かに気になるけど、無理に話して欲しいわけじゃない。烏養さんが話したくない事を話させるつもりも無い。
いま、彼女と呼べる存在が私なら、それで十分だ。