Fall in love with you【R18】
第9章 nine
「ありがとうございます…」
俺はただ、藍原を喜ばせたいだけで気を遣ってる訳でも何でもねーんだけどな…
車を店んとこに止めて、いつも通り夜道を歩き出す。
ふわりと頬を撫でる風は少し冷たくなって来たような気がする。つまり、藍原と付き合ってから一つ目の季節が終わろうとしているという事だ。
「藍原、寒くねぇ?」
「はい、涼しくて丁度いいくらいです。」
控えめな笑みが、俺の中じゃすげぇツボで、これを彼氏だった奴らにも見せていたのかと思うと、モヤモヤっつーか、イライラする。
「藍原は、俺の前に付き合ってた奴とか居たのか?」
つとめて自然に、怪しさなんて感じさせないように訊ねた。
「居ましたよ。1人だけ。」
「それって、東峰か?」
「知ってたんですか…そうです。4ヶ月ほどで別れちゃいましたけど。」
自然と、ショックだとか嫉妬だとかは無く、「あぁ、やっぱりか」ってのが大きくて。
「東峰とは円満に別れましたし、今では何でも話せる一番仲のいい友達です。」
藍原が淡々と話せているのが不思議で仕方がない。