Fall in love with you【R18】
第9章 nine
放課後、いつもより少し早めに学校へ向かう。
なんか俺彼女出来立ての中坊みたいになってねぇ?
ダセェ…と片手で顔を覆いつつ校内に足を踏み入れ体育館の扉を開いた。
「おーす、」
「あ、ちわーっス!」
生徒達に声を返しつつ視線を動かし藍原の姿を探す。
「コーチぃ、藍原ならドリンク作りいってますよー」
「っ!そ、そうか!」
突然言い当てられたことに驚きつつも、あくまで平静を装う。全く出来てないと奴らは笑ったけども。
「あ、烏養さん!」
パン、と弾けたみたいな声が聞こえた後、背中に軽い衝撃を受けてゆっくりと振り返る。
「藍原…」
「なんですか?烏養さん。」
語尾にハートでも付きそうなほど甘ったるく発せられる声に僅かに怯むも、ぐっと押し留め髪を撫でてから引き離した。
「見られたらどうすんだ?」
「見られて困るのは烏養さんだけです。」
「じゃあ俺が犯罪者になってもいいってか?」
「それは…だめ、です。」
拗ねる様に逸らされた視線と尖った唇が加虐心をゾワゾワと煽る。虐めたい。でもここは学校で、生徒達のたくさんいる体育館だから…
「ならちゃんとスイッチ切り替えろ。な?」
「はーい。」
気持ちと逆の事を言わなければならない。