Fall in love with you【R18】
第8章 ●eight
抉られた心を抑えながらカバンを肩にかけ夜道を歩く。
一人ってこんなつまんねぇもんだったか?
こんなに静かだったか?
ぷかりぷかり流れては空気に溶け込む紫煙を眺めつつ考える。
あぁ、いつの間にか藍原が隣にいることが当たり前になってたんだな…
気づけば俺は藍原の家へ足を進めていて、自然に早歩きになる。
一目会えればそれでいい。
玄関の前に立つとカーテンの隙間から見える微かな光。
良かった…まだ起きてる…
ポケットからケータイを取り出して藍原に電話をかけた。早く、はやく__
『もしもし?』
ダイレクトに耳に響く可愛らしい声。
「あー、俺だけど。今から少し会えねぇ?」
『今から、ですか?』
「おう。お前ん家の前にいんだけどよ」
そう言うと電話は繋がったまま、家の中からドタバタと音がしてガチャリ、玄関の扉が開いた。
「おかえりなさい、烏養さん」
突然の笑顔にドキッと俺の心臓が音を立てる。
「おう、ただいま。」
腕の中の体温が心地よくて愛おしくて
全て俺の物にしたいと
切に願った。