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薄桜鬼~桜と誠と追憶のカケラ〜

第2章 if~貴方に忠誠を~



「それでも結構です。私の目的は千鶴ちゃんですから。」


「状況分かってるの?君、斬られるかもしれないよ。」


「へぇ・・・」


すぅ・・・と目を鋭くさせ凄まじい殺気を放つ。千鶴はビクリと肩を揺らし固まった。その場にいる全員が息を呑み構える。


「随分、身勝手ですねぇ。あのような連中を放出した原因はそちらにあるというのに事情を知られたら拘束して挙句斬る、ですか。」


「表に出していい問題じゃねぇ。知られたからには始末する。それが俺達のやり方だ。秩序を守るためだ。」


「何度もいいますが私の目的は千鶴ちゃんのみ。新撰組や政治、それから世の行く末などどうでもいい。」


悠真はそっと立ち上がり千鶴に歩み寄る。殺気が向けられるのを感じたが素知らぬふりをして千鶴に笑みを向けた。



「もし、私を斬るというのなら私が千鶴ちゃんを連れて行きます。」



「なんだと?」


「それは出来ない要求だ。」



土方と斎藤は険しい表情で悠真を睨みつけた。ピリピリとした殺気に居心地悪さが増し千鶴は息を詰まらせる。


「まぁ、落ち着かないか。悠真くん・・・だったかな?大事な主人である雪村君をこのような場所に住まわしてしまって申し訳ない。」


今まで黙っていた近藤は土方と斎藤に苦笑いを浮かべながら制するように声をかけそれから、悠真に眉を下げ申し訳なさそうに頭を下げた。


「残念だが、雪村くんをこのまま連れて行かれては困る。我々は今、雪村くんの父親を一刻も早く見つけなければならないのだ。だから雪村君と共にここで過ごしてくれないか?」


「なっ、近藤さん!?」


「彼が言ってる事に嘘はないだろう。それに、雪村くんの小さい時の仲だろう?江戸から雪村くんを追って探しに来て1人でここまで辿り着いた。雪村くんの忠義に俺は感服するよ。」


悠真は近藤を探るように見、苦笑いを浮かべ息を吐く。やれやれと肩を竦ませ困ったように笑った。


「人が良すぎるといいますか・・・」


悠真の呟きを聞いた千鶴は小さく笑みを漏らして悠真を見た。目が合えば優しく微笑む。


「初めから私はこうなる事を望んでいましたから。」


「よし!皆もそれでいいか?」


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