第2章 if~貴方に忠誠を~
「で?お前が原田の言っていた男か。」
場所は広間。屯所に帰ってすぐ原田は土方に事情を説明し、幹部を呼び広間に集まった。囲まれるようにしてその中心にいるのは涼しげな表情で堂々と座る悠真の姿。千鶴は広間の隅で不安げに見つめる。
「お前が知ってるその情報はどこから手に入れた?」
「誰から聞いた訳でもなくこれは私の推測ですよ。」
「推測だぁ?」
「千鶴ちゃんが父親を探しに京へと向かったと知った私は、後を追って京に向かい千鶴の情報を手に入れるため、聞き込みに回っていました。その時にある噂を耳にしました。」
「その噂ってやつは・・・」
土方は眉を寄せた。悠真はニコリと微笑み頷く。
「ご察しの通り、夜になると赤い目をした誰かが徘徊し人を襲っていると・・・」
「・・・・」
「確かめるべく夜、京を歩いていた所遭遇したんですよ。奇妙な連中に。それも、新撰組の方が着てる隊服にそっくりでした。」
「なんだと?遭遇したのか!?」
「えぇ。始末しましたが。その次の日京を歩く新撰組の中に、千鶴ちゃんの姿を見つけました。そこである考えが浮かんだ、彼女はこの秘密を知って拘束されたんじゃないか、と。」
可能性であって断定は出来ませんでしたけど、と肩を竦ませる。重苦しい空気に千鶴は息が詰まりそうになった。
「・・・お前の目的はなんだ。」
低く地を這うような声に殺気を放つ土方。悠真はそれに臆する事なく微笑み千鶴に目を向けた。
「千鶴ちゃんの側に供として仕える事、ですね。」
「ねぇ、ふざけないでくれる?」
すかさず沖田が棘のある口調で言い放った。鞘に手を置いている。
今にも斬りかかりそうな様子に悠真はクスっと笑った。
「おや、ふざけてないですよ。私は貴方達の事や事情なんてどうでもいいですし興味ありませんから。他言するつもりもないです。信じるか信じないかはそちらに任せますが。」
あくまでも、千鶴に会うためだとハッキリ断言する。言葉に裏があるようには感じない。どうしたもんかと土方は難しい表情を浮かべた。
「・・・信用はできねぇ。」