第7章 EMERGENCY
「さぁて。まず一人。」
その声が背後から聞こえた時、
私の身体は動かなくなった。
「きゃっ!!!」
私が叫ぶと優月さんはすぐに私の方を見た。
「雛!!!!」
優月さんは私に駆け寄った。
「おいおい、こんな罠にかかるなんて…あんたも落ちたねぇ。」
その声と同時に、優月さんに無数のナイフが刺さった。
「ぐぅ…!!!!」
優月さんはよろめいた。
「おっさん!!!!!」
「優月さん!!!」
あの怪しげなおじさんが優月さんに歩み寄る。
このままじゃ優月さんが殺されてしまう。
そう思うのに身体が動かない。
私は必死にもがいた。
「おやおや、元気な子だねぇ。君は後でだよぉー。」
そう言っておじさんは優月さんに向かって
ナイフを振り上げた。
その時だった。
「や、やめろ!」
「・・・っな!」
「陽くん!!!」
陽くんが優月さんの前に立った。
その足はガクガクと震えていた。
が、先程のおじさんを力いっぱい睨みつけていた。