第6章 日常世界。
「で、なんだ?どうしたんだ?」
優月さんはコーヒーを入れながら言った。
「それがさ!さっきカラスっぽい奴みたんだよ!」
陽くんは嬉しそうに優月さんの方を見ていた。
「カラス?あぁ、最近被害ひどいからな。ゴミ荒されてたまらんわ。」
優月さんはまだ頭が回ってないのか、鳥の方のカラスの方を言っているようだった。
「違うよ!ゲームの方のカラスだよ!」
陽くんはぷぅっと頬を膨らませた。
「あぁ。あいつか。」
優月さんはコーヒーを私達に出してくれた。
「すいません、危ないって言われたのに…。」
私は受け取りながらそう言った。
「あぁ、どうせ、こいつから呼ばれたとかだろ?無事ならいいよ。」
そう言って優月さんは優しく私の頭を撫でた。
「でもさぁ、そのカラスって奴、なんか良い奴っぽくてさぁ!」
陽くんはコーヒーを飲みながら言った。
「そうか。まぁ、でも現実とゲームじゃ性格変わるやついるからな。」
優月さんもコーヒーを飲みはじめた。
「そうなんですか?」
「あぁ。だってゲームって非現実世界だろ?どんな悪い事したっていいわけだし…気がでかくなるんだろ。」
優月さんは考えるように言った。
「でも!猫にエサとかやってたぜ!」
陽くんは目をキラキラさせていた。
「あ?猫にエサやってたら良い奴なのかよ?」
優月さんは不思議そうな顔をした。
「おう!猫好きに悪いやつはいないね!」
陽くんはふんっと鼻を鳴らして言った。
「…まぁ、そいつがカラスかはわからんが、得体は知れないから気をつけるんだぞ。」
優月さんはそう言うとあくびを小さくした。
そしてその場はシーンと静かになった。
"ぐぅー"
「っは!!!」
こんな時にお腹がなってしまった。
恥ずかしい。
私はお腹を押さえた。