第6章 日常世界。
私は公園に戻って陽くんの自転車に乗り、
優月さんの店へ向かった。
優月さんのお店はまだ開店していなかった。
「あ、ここの裏にさ、おっさんの部屋のドアがあってピンポンがあるから鳴らそうぜ!」
そう言って陽くんは裏の方に走っていった。
「わぁ!?待ってよ!」
私は陽くんを追いかけた。
裏には小さな玄関があった。
そして、その横には車庫のようなものもあった。
…優月さんって結構お金持ちなのかな?
"ピンポーン"
陽くんは嬉しそうにインターホンを鳴らした。
しばらくすると中からまだ眠そうな優月さんが出てきた。
「…なんだ。ガキ。忘れ物か?」
優月さんは不機嫌そうに陽くんを睨みつけた。
「ちげぇよ!おっさんに会いに来たんだよ!」
陽くんはくしゃっと笑った。
「あ。おはようございます。」
私は陽くんの後ろから顔を出した。
「…はぁ。店開けるから、そっちから入れ。」
そう言って優月さんはドアを閉めた。
私と陽くんは表に戻り、ドアが開くのを待った。
しばらくするとお店のドアが開いた。
私達は中へと入った。
お店の中の時計を見ると今は午前8時だった。
ここのバーが午前4時まで営業みたいだから…
なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。