第5章 カラス
「んじゃ、雛は俺がバイクで送ってくるから、それまでの間店番頼むよ」
そう言って優月さんはカウンターから出てきた。
「おう、任せろぉー!」
陽くんはヘラっと笑った。
「え!?いや、悪いからいいですよ!」
私は申し訳ないので断った。
「ばぁか、こんな時間に女の子が一人で歩いてたら危ないだろ。それにバイクだったらすぐ着くから。ほら、行くぞ。」
そう言って優月さんはまた、私の手を握り引っ張った。
細くてゴツゴツした手はとても暖かかった。
なんだか、やっぱりドキドキしてしまった。
「あ、あの!?」
私は引っ張られるままに歩きだした。
「じゃ、10分くらいで戻るから、お客さん来ないとは思うけど、よろしくなぁ。」
そう言って優月さんは陽くんに手を振った。
「おーう!じゃ!雛!またなぁ」
陽くんは笑顔で手を振ってくれた。
「あ。またね。」
私も陽くんに手を振りかえした。
そして、お店の外に出た。