第5章 カラス
「そういえば、おっさん。俺さ、あのカラスって奴見たことあるんだよ。」
「…まぁ、オンラインゲームだしな。意外に近くの奴も居るだろうなぁ。」
優月さんはあまり驚いていないようだった。
「えー!もっと反応してくれよぉ!つまんねぇーじゃん!」
陽くんは不満そうに言った。
「どこで見たの?」
私は少し気になったので聞いてみた。
「学校の近くにさ、めっちゃ古い神社あるだろ?」
陽くんはこちらを見て嬉しそうに話はじめた。
学校の近くの古い神社…。
「あ!あの商店街の右側?」
「そうそう!そこだよ!そこの境内でさ、座ってるところ見たんだよ!」
陽くんはドヤ顔をしながら言った。
「え?座ってるだけ?」
「おう。あそこって古いからあんまり人いないだろ?しかも、若い人だったからさぁ、珍しいなぁって思ってたから覚えてた。」
「それ、いつぐらいの話なんだ?」
優月さんはオレンジジュースを私達の前に置きながら聞いた。
「お、サンキューおっさん!んーと…もう一ヶ月くらい前かなぁ?」
陽くんは渡されたオレンジジュースを飲み始めた。
「そっかぁ。でも、本人とは限らないよね。」
私がそう言うと陽くんはこっちを向きなおした。
「そうっ!だから、明日学校休みだし、一緒にあの辺探してみねぇ?」
陽くんは嬉しそうに言った。