第5章 カラス
「おぉっとお嬢ちゃん。俺から逃げられると思ってるの?」
その声は耳元からした。
「え!?」
横を見ると"カラス"が不適な笑みを浮かべ
私のすぐ横に立っていた。
さっきまで正面にいたのに…
なんで…!?
私は一気に血の気が引いた。
「・・・っくそ!雛から離れろ。」
そういうと陽くんは杖を"カラス"に向かって振り上げた。
が、簡単に止められた。
「おいおい、元気の良いプリーストだねぇ。」
"カラス"は笑いながら言った。
「――雷撃」
その声と共に"カラス"に向かって雷が落ちてきた。
眩しくて目がくらんだ。
「おぉっと、危ないなぁ。大丈夫、戦うつもりはねぇよ。ただの品定めだ。」
そう言って"カラス"は軽々と避けた。
「品定めだと?」
優月さんは"カラス"を睨みつけた。
「そう。このゲームに勝ち残るために仲間でも探そうと思ってね。」
"カラス"はそういうと再び屋根の上に軽々とジャンプして上っていった。
「ま、なかなか気に入ったよ。そのプリースト。もうちょっと育ったら奪いに行くから。それまでお守り宜しくね。黒雷さん」
そう言って"カラス"は消えた。