第3章 戻った世界。
「あれってどんな技術使ってんだ?超リアルな感覚だったし、俺、3時間ぐらい居た気がしてたのに戻った時には1時間も経ってなかったんだけど」
陽くんは興味津々な顔をして聞いた。
「あぁ?俺も知らねぇよ。でも、あの世界での体感時間は何時間だろうが、こっちの世界では一瞬みたいだな。」
相変わらず黒雷の剣士さんは何やら作業をしていた。
なんだかコーヒーの良い匂いがしてきた。
「ふぅーん。で、あの世界で死んだらどうなるんだ?」
陽くんは聞いた。
「…死ぬよ。時間は共有してないみたいだが、肉体は共有してる。あっちでケガしたらこっちでもケガしてるし、あっちで死ぬとこっちでも死ぬ。」
「え?」
私は思わず声をあげた。
「まぁ、俺もよくはわからんが、あれは危険なゲームだ。これ以上関わらんが一番だな。ほら、コーヒー飲めるか?ガキ共」
そう言って黒雷の剣士さんは私達にコーヒーを出してくれた。
「お!おっさん優しいなぁ。さんきゅー」
そう言って陽くんはコーヒーに砂糖をドバドバと入れ始めた。
「あ、ありがとうございます!黒雷の剣士さん!」
私はペコっと頭を下げた。
「…優月(ユヅキ)。」
黒雷の剣士さんはぽつんと呟くように言った。
「え?」
「俺の名前、黒田優月(クロダ ユヅキ)だ。その黒雷の~とかいうので呼ぶな…恥ずかしいから嫌なんだ。////」
優月さんは恥ずかしそうにうつむいた。