第3章 戻った世界。
「2時間前だね…どうしよっか。」
「まぁ、いい!開けてみようぜ!開いてるかも!」
そう言って陽くんは勢い良くドアノブを掴んだ。
「わぁ!ダメだよ!陽くん!」
"ギィ"
ドアが開いた。
「あ、開いた!」
陽くんは嬉しそうに言って入っていった。
私も陽くんを追いかけて入った。
開店前で少し薄暗い店内。
人気はなかった。
「すいませーん!誰かいませんかぁー?」
陽くんが叫んだ。
しばらくすると奥からゴソゴソと物音がしてきた。
「あ?誰か居るんじゃん!おーい!」
陽くんは再び奥に向かって呼びかけた。
「っち…うっせぇな。お客さん、まだ開店前なんで…」
奥からけだるそうに雷黒の剣士さんそっくりさんが歩いてきた。
昨日とは違い、普通の格好をしていた。
そして私達を見て驚いた顔をして固まった。
「よぉ!」
陽くんは嬉しそうに手をあげた。
「こ、こんにちわ。」
私は頭を下げた。
「…っな!お前ら昨日の!?なんでここに!?」
「あ、あの、この雑誌に載ってて…」
私は雑誌を広げて見せた。
「…////」
黒雷の剣士さんは恥ずかしそうに顔をうつむけた。
「で、おっさん。これどういう事なんだ?」
陽くんはカウンター席に腰掛けた。
「…どういう事なんだって…俺が聞きたいわ。」
そう言って黒雷の剣士さんはタメ息をついた。
「あの…昨日のって夢じゃないんですか?」
私が聞いた。
「…あぁ。一時的に"ゲームの世界"に入り込んだんだ。夢じゃなく現実だ。」
そういうと、黒雷の剣士さんは何やらカウンターの中で作業しはじめた。