第3章 戻った世界。
朝の屋上はとても涼しくて気持ちがよかった。
「んー!朝の屋上はいいなぁ!」
そう言って陽くんは背伸びをした。
「あ、あの、これどういう事ですか?」
私は尋ねた。
「あぁ、俺さ、あんたの事見た事ある気がしてたんだよ。昨日。」
「…え?」
「だから、誰だろうって思い出してたらひらめいたんだよ。あんた1年の時入学式で新入生挨拶してただろ?」
陽くんは屋上のベンチに座りながら言った。
「・・・はい。」
「だから、もしかしてって思ったらドンピシャなわけよ!ちなみに俺、2年B組な!」
そう言って陽くんはニカっと笑った。
「いや、ちょっと待って!昨日のって夢だったんじゃ…」
なんだか頭が混乱した。
「あぁ、俺もそう思ったんだけどさ、実際こうしてお前がいるわけだろ?しかも昨日の事覚えてるんだろ?」
「…うぅ。確かに…。」
「いやぁー、でも夢じゃなくてよかったぁ。あんたに話しかけて俺の夢だったらとんだ恥だからなぁ!」
そう言って陽くんは笑っていた。
「あ、そういえば…」
私は手に持っていた雑誌を広げた。
「ん?何だ?」
陽くんは雑誌を覗き込んだ。
「見て、この人。」
私は黒雷の剣士さんに似ている人の写真を指差した。