第12章 現実世界。
3人が私の顔をじっと見つめる。
なんとなく嘘はつけない気がした。
「えっと…樋渡さんに会いました。それで樋渡さんが…」
私がそう言った瞬間、
優月さんと蘭丸さんの顔が一気に引きつった。
「樋渡に会ったのか?」
「は、はい。」
「何もされなかったか?」
「はい。」
「…よかった…。よかった…。」
優月さんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「で?あいつとどんな話ししたわけ?」
蘭丸さんが私の前にしゃがみ込んで聞いた。
「えっと…。」
聞いた事を全て話していいのだろうか?
もし、これが樋渡さん(アカシックレコード)の罠だったら?
でも、蘭丸さんや優月さんは私よりずっと賢いから…。
仮に罠だとしても罠にはひっかからない…?
私が黙っている方が不利なのかもしれない。
でも、
今、樋渡さんがこの世界に存在する事を
優月さんに伝えてしまったら…。
きっと今の優月さんは取り乱してしまう…。