第12章 現実世界。
「雛。俺さ…」
陽くんは私をゆっくりと離すと、
私の顔を真っ直ぐ見下ろした。
いつもと違う角度から見ているからか、
なんだか、ドキドキしてしまう。
「んと…何?」
私がそう尋ねると、
陽くんは深呼吸をした。
「お、おれ、お前の事」
「こら!人の部屋でイチャつくなクソガキ共!!!」
その声に顔をあげると、
ドアの前には優月さんとニヤニヤした蘭丸さんが居た。
「あ。」
はっと我に返った。
陽くんも同じく我に返ったのか、
私から勢いよく離れた。
「ばっ!!ち、違うから!へ、変な事をしようとしてたわけじゃ…」
陽くんは真っ赤になっていた。
「ん?変な事って何かなぁ?おじさんわからないなぁ?説明してほしいなぁ?よっぴぃ。」
蘭丸さんはニヤニヤとしながら陽くんの顔を
覗き込んでいた。
「うるさい!!ち、違うって言ってるだろ!!」
陽くんは相変わらず真っ赤だった。
「はぁ…。雛大丈夫か?」
優月さんはベットの縁に座ると私の顔を覗き込んだ。
「は、はい。」
私がそう返事をすると、優月さんは安心したように
溜め息をついた。