第12章 現実世界。
ゆっくりと目を開けると、
そこはまた見慣れない天井だった。
私はベットで寝ているようだ。
私はゆっくりと寝ていたベットから
上体を起こした。
回りを見渡すと、
黒と白でまとめられた、
シンプルな部屋だった。
嗅いだことのある、
甘いコーヒーのような匂いのするこの部屋。
ここはどこだろう。
ぼんやりとそんな事を考えていると、
ドアが勢いよく開いた。
「あ。」
「あぁぁぁ!!雛!!!!」
ドアを開けた主は陽くんで、
起き上がった私を見つけると
私の方へ駆け寄ってきて、私を抱き締めた。
陽くんが抱き締める勢いがよかったせいか、
ふたたびベットに二人して寝転ぶ体制になった。
「わぁ!?よ、陽くん!?」
「このまま雛が起きなかったらどうしようかって…すげぇ心配した。」
あぁ、そうか。
私だけあの場に残されたから、
みんなと同時に起きなかったんだ…。
「心配させてごめんね。ありがとう。」
私は陽くんのふわふわした頭を撫でた。