第12章 現実世界。
樋渡さんはニコニコと笑顔のまま私を見つめた。
なんとなく気まずい雰囲気から
冷や汗が流れる。
「さぁ、そろそろ返してあげるよ。雛。ありがとう。楽しかった。」
樋渡さんはそう言うとゆっくりと立ち上がった。
「あ、あの、結局何故私はここに取り残されたんですか?」
「さぁね?エラーとしてもあがってないし、意図的に…と考えた方がいいんじゃないのかな。」
「意図的に?」
「そう。理由は僕もわからない。調べてみるさ。」
樋渡さんは私に近寄ると私の手を握った。
「僕は待っているよ。君がまた僕に会いに来るのを…」
その言葉を最後に
私の意識は遠のいていった。