第12章 現実世界。
樋渡さんはこの世界ではアカシックレコードさん。
…じゃぁ、現実世界の樋渡さんは…?
私ははっとなり思わず立ち上がり、
身を乗り出した。
「じゃぁ、現実世界の樋渡さんは!?」
私がそう尋ねると、
樋渡さんは少し考えるようなしぐさをした。
「そうだね、君たちの世界の樋渡光は存在しているよ。でないと僕はこの姿でここに存在する事が出来ないからね。」
樋渡さんはニヤリと笑った。
「えっと…存在しているって事は生きているんですよね!?どこにいらっしゃるんですか!?」
「それは教えられないね。僕はあくまでもシステム。外部に情報を流してしまったら僕は管理者によって削除される。よって、僕は情報は喋れない。でも、もし君が…僕を管理者から奪い取り君が権利を握る事が出来れば…僕はいくらでも話すよ?」
樋渡さんは再びにやりと笑った。
「…え?」
「これは仮定の話しだよ。雛。僕はシステム。管理者に従うだけ…。」
それはまるで、
管理者から自分を奪ってほしいように受け取れる発言だった。
もしくは…
挑発?
私がそれを優月さんや蘭丸さんに伝えれば
きっとそれは実行される。